11月29日の朝刊、呉、東広島版
踏ん張っています・まちの顔
広島経済レポート11月20日号に引き続き掲載されました。
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吉野杉で柔らか空間
建築業 「中工務店」 社長 中 俊治さん(54)
=東広島市西条町
吉野杉やヒノキをふんだんに使った住宅の建築を、東広島市西条町の住宅地で進める。奈良県の製材所から直接取り寄せる吉野杉。「年輪の間隔が狭いため、他のスギより強度が高い」素材だ。民家で使うのは三軒目。「完成直後から生活になじむ、柔らかい空間を提供できるのが魅力」とほれ込んだ。
初めて吉野杉を使ったのは二年前。市内の公衆トイレの建設だった。組み立てた従業員たちから「組みやすい」と驚きの声が上がった。
長男(33)の知人を通じて知った製材所を訪れた。天日での材木の乾燥に手間暇かけ、徹底した管理体制が敷かれていた。「生産者の顔が見える木」だけに、建築主にも安心感を届けられる。
子どものころから自宅の作業場にあった材木に触れていた。触れていた。手触りや見た目で良木を判断する感覚が自然と養われたという。高校卒業後五年程度の設計事務所勤務経て家業を手伝い始めた。
社長には一九九一年に就任。バブル崩壊の荒波にもまれた。新築工事が減り台所や風呂の改修、リフォームに力を入れた。リフォーム件数が新築工事を上回る時期もあった。
苦しい時期を乗り越え、理想の吉野杉やヒノキに出合った。建材の95%を賄った場合、建築現場から出るごみの量も三分の一以下に抑えられるという。
手掛ける家の骨組みができると毎回、構造見学会を開く。
「会社のブランドにしたい。そのためにも多くの人に見てほしい」。建築主が満足する姿を、の自信につなげる。
(小山顕)
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